南里 正之

腎泌尿器に特化した、新しい専門家集団を作りたい

医者がトップの組織ではなく、各専門家、スタッフがフラットな関係で連携しあえる新しい医療の形の構築。そこが目標です。

南里 正之

今できる最善の道を考える

  慢性腎不全の患者さんにとって、腎臓移植できれば一番良いのですが、現実問題、多くの腎臓病患者さんは移植を受けることが出来ません。透析は避けられないのであれば「いかにして透析の負担を減らすか」を新たなテーマにしました。

 患者さんのQOL(クオリティ オブ ライフ)を高めるためにはどんな方法が相応しいだろうかと考えています。例えば、血液透析だけではなく、腹膜透析(※腹膜透析のブログへのリンク)も選択できるようにしました。腹膜透析を広めるためには、私自身が腹膜透析のスペシャリストになる必要があります。

 都内でも腹膜透析ができる医療機関は少なく、専門家も少ないです。血液透析と腹膜透析には、それぞれメリットもデメリットもあります。双方のいい所採りをすることで、患者さんの負担を少なくする治療を実施しています。

蛋白尿から、看取りまで

 私が自靖会で腎臓病治療について目指していることは、未病と言って腎臓が悪くなる前から、亡くなるまでの一貫した治療です。大きく分けると2つの段階があります。
「透析にならない様にする治療」と「透析になった後に負担を軽減する治療」です。まず「透析にならない様にする治療」については、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸値の治療です。糖尿病であれば血糖値のコントロール。血圧やコレステロール、尿酸値の管理です。

 こういった生活習慣病が腎臓機能を低下させる大きな原因となりますので、ここを薬や生活習慣を変えることで改善することが透析にならない為には非常に重要になってきます。内科的な治療と並行して、食事療法がまず挙げられます。当院には管理栄養士もいますし、塩分の少ない食事。薄味に慣れるなど食事療法は重要になってきます。運動療法も大切です。高齢者にはサルコペニア(筋力低下)の予防が必要です。運動療法を積極的に行い、こちらも有効な手段です。

透析にならないための生活指導に関する、新しい専門家チームを現在準備しています。管理栄養士だけでなく運動療法士を含めた、生活習慣を改善する包括的な取り組みです。そして「透析になった後に負担を軽減する治療」です。今までは人工透析といえば血液透析のみでした。腹膜透析にもメリットやデメリットがありますが、2つを組み合わせることで負担は減らせると考えています。

 大切な事は「選択肢を提示できること」です。それぞれの長所短所を説明して、患者さんに選んでもらえる事が必要と考えています。嬉しかったことは、90歳を超えて腹膜透析を導入した患者さんが、自宅で以前とあまり変化のない生活を送れるようになった事です。「自宅で過ごせる時間が増えました。腹膜透析を選択してよかった」と言っていただいた時は、報われる思いでした。

種を蒔く それが私の使命だと思っています

 通常、院長の仕事は、経営的なことや事務的なこと。人事などの仕事もあります。自靖会の長所はチームワークです。事務は浅野さんが滞りなく処理してくれて、看護部や人事は新沢さんが統括してくれています。

 そのため私は、外来や手術、研究など。自分の仕事に集中できる環境が整っていることがありがたいですね。私が自靖会で行っていることは「新しい種を蒔くこと」だと思っています。井口理事長のビジョンを受け取って、新しい腎臓泌尿器治療の基幹病院にしたいです。

 医療、介護、在宅など。自靖会には様々な施設があります。その施設、職員をつなげ、連携することで患者さんの人生に貢献できる医療機関にしたいと思っています。「井口腎泌尿器に行ったら安心だ」と言っていただけるような、地域医療の中心的な存在。皆様の身近な「かかりつけ病院」になりたいと思っています。

南里 正之

役職: 院長
専門分野: 腎泌尿器科
経歴: 佐賀医科大学卒業、医学博士
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター、佐賀大学医学部泌尿器科、南里泌尿器科医院での勤務後、2021年9月より医療法人社団自靖会へ。現在は井口腎泌尿器科内科・親水の院長に就任。

南里 正之

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