透析治療の種類を知りましょう
この記事に目が留まった方は「透析」と調べて辿り着いた方が多いのではないでしょうか?
本コラムでは、普段馴染みのない透析についてお話致します。
透析の種類と特徴
透析は腎臓機能が低下した患者さんが、その機能を補う為に行う治療です。
透析治療には「血液透析」と「腹膜透析」があります。
血液透析
血液透析は血液を体外循環させ、ダイアライザ(透析器)に血液を通して、尿毒素と水分を除去する治療です。
機械に腎臓の代わりに働いてもらうわけです。
腕の血管に2本の針を穿刺(センシ)する必要があります。
厳重に清浄化した大量の水道水(1回の透析で120L)を用います。
治療は1回4時間、週3回クリニックに通院する必要があります(自宅で血液透析を行う方法もありますが一般的ではありません)。
ずっと週3回の通院が必要になりますので、生活スタイルは透析治療が中心になります。
透析手技は医療従事者が行いますので安心ですが、患者さんへの負担が大きく、また避けられない治療の為です。熟練した看護師が行う事や、親身になってケアをするクリニックを選ぶ必要があります。
腹膜透析
腹膜透析は透析液を腹膜に注入し尿毒素と水分を除去する治療です。
腹膜とは内蔵の外側と、内側の壁を覆っている膜のことを言い、常時体液の交換を行っています。
腹膜透析を始めるにあたって、透析用のカテーテル留置術が必要ですが、カテーテルと透析液の接続は容易かつ安全に行えます。
大きな特徴としては自宅で透析を行える事です。
通院は月1、2回ですので透析導入前と生活スタイルはさほど変わらなくてすみます。
透析療法の選択は、ご自身の生活環境や年齢、体力などを考慮して治療法を決める必要があります。また、これらの治療法は相反するものではありませんし、2者択一ではありません。
最初は腹膜透析から開始し、その後に血液透析に移行することやその逆も可能です。日本では併用療法も可能です。
腹膜透析の特徴
腹膜透析の一番の特徴は生活の制約や食事・飲水の制限が血液透析と比べ少ないことです。しかしながら、尿毒素や水分除去は血液透析と比べ正確に調整することはできませんので食生活が乱れた患者さんや尿が全く出ない(残腎機能がない)患者さんには不向きです。そのため、若い人と比べて食事量が少なく、尿がでている高齢者は透析導入を腹膜透析から開始することは有益と考えられます。
高齢者で透析手技をできるかを不安に思われる方は多くいらっしゃいます。
しかしながら現在国策として在宅医療が推し進められており、訪問看護師や訪問診療が充実しておりますので問題になることは少ないです。
現在。腹膜透析の専門家や取り扱っている病院やクリニックはまだ少ないですが、当クリニックにはカテーテル留置手術から治療、アフターケアまで一貫して看る事ができる環境が整っています。
ご自身に合っているかどうかも含めて、一度ご相談いただきたいと思います。
※参考文献
夜間頻尿ガイドライン「第2版」
2021 後期研修医がおさえておきたい泌尿器疾患TOP30
ED診療ガイドライン
PDハンドブック
井口 靖浩
役職:理事長
専門分野:腎泌尿器科・血管外科
経歴: 鳥取大学医学部卒、医学博士
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター等での勤務後、2003年医療法人社団自靖会・理事長(現任)、2006年医療法人社団光靖会・理事長(現任)となり現在に至る
専門医資格・指定医資格等:日本泌尿器科学会 指導医・専門医
日本透析医学会 専門医
所属学会等: 日本泌尿器科学会 日本透析医学会 日本移植学会 等