川畑 公宏

手をつなぐ、そして物語が始まる

人と人をつなげる仕事をしています。一人一人では実現できない事も、手を取りあえば大きな力が生まれるんです。

川畑 公宏

子供の頃から自然と導かれていたのかも知れません

 私は理学療法士の資格を持っています。きっかけになったのは母でした。私が物心ついた頃から、母親が下半身不随で歩けない状態でした。

 子供の頃はリハビリをうけていた母を見ておぼろげながら「自分の将来の仕事はこれなんだろう」と思っていました。 高校生の頃、リハビリの養成校が地元である鹿児島県にできた事もあり、理学療法の道夫に進むことを決意しました。

 今は事務局に在籍しています。管理部長の下で法人の運営企画。他には様々なお客様や業者さんとお相手をさせて頂き、営業も任されています。 地域の中で自靖会と光靖会も含めて、地域貢献していることを伝えていきたいことが大きなところですね。また、地域の様々な事情を吸収させて頂いて、自靖会に持って帰り検討するところが大きな仕事かなという風に思っています。

川畑 公宏

ひょんなことから劇団を結成 そこで思いついたアイディアは

 長い間。理学療法士を続けていく内に、リハビリだけでなく地域との繋がりにも興味を持ちました。

 11 年前に地域の異業種(介護・福祉・医療)の情報交換会があり、毎月参加していました。地域のデイサービスの連絡会から、他業種の連絡会になり、そこから発生し立ち上げた演劇活動をずっと続けています。

  今は、コロナ渦で活動が止まっているのですがまたやりたいですね。 劇団の名前は「江戸川介護劇団たなごころ」といいます。たなごころは「掌」と書きます。元々は「手の心」だったそうです。

 この名前は座長が提案しました。私は「Hands」と言う名前を候補に挙げました。何も打ち合わせていなかったのに、二人とも「手」にまつわる名前を挙げたんです。正直驚きました。「手当てをする」「手を施す」など介護や医療にとって「手」が言葉と同じくらい大事であるという思いが通じ合ったんですね。劇団名はすぐに決まりました。

 その後、第一作目の時に脚本を書いたことで、そのままずっと私が担当することとなりました。 出演に関しては、これも第一作目で女装してしまったために、その後ずっと女性の役ばかり やっております。でもそれが楽しみになってますね。

川畑 公宏

演劇活動で感じた手応え

 第1作は、デイケア舞台にした「人の役割」をテーマとし、江戸川区の介護フェアで発表しました。デイケア利用者の実際にあった出来事を下敷きにしています。

 脳梗塞で片麻痺になり、行事にも消極になっていた男性。身体が言う事を聞かない事に対し悲観し、憤り、塞ぎ込んでいました。

 ある時、息子が結婚するにあたり、自分の足で立って親族代表としてスピーチしたいといい出しました。ケアマネーシャー、リハビリ、介護士や家族の協力で、本人の努力も実って、実際にスピーチできたいうエピソードです。本人の希望を叶えるために、事務所の垣根を越えて各施設のスタッフや家族や周りの人達が一丸となって大きな目標を達成したのです。

 そこで感じたのは「横の連携を広くすれば、大きなチカラになるぞ」と言う実感でした。この出来事だけではなく、劇団で分け隔てなく仲間と接したことで、その想いは一層強くなりました。

川畑 公宏

専門家をどう繋げるかを大きなテーマとして持っています

 リハビリテーションには様々な職種、 専門家が関わります。

 理学療法士は、ケガや病気などで身体に障害のある方の基本的な動作の回復や維持のために運動療法や物理療法を行う専門職です。

 作業療法士は、「食事」「排泄」「料理」 など実際の生活動作を獲得するための練習をしたり、 「社会参加」へのアプローチや「認知症」「精神疾患」 の諸症状に対する治療を行う専門家です。

 言語聴覚士は、コミュニケーション能力の回復のための治療や代替え方法の工夫を行ったり、摂食嚥下障害のある方の評価や訓練を行う専門家です。 

主に、この3つが、リハビリテーションに関わる国家資格ですが、 横のつながりがしっかり出来ているかというと、 十分ではありません。

 さらに、同じ職種であっても、 最近では急性期・回復期・在宅期と分業化が進み、 自分の領 域が終わると次の領域にバトンを受け渡すのが一般的です。 サマリーなどで情報の申し送りはありますが、 縦の関係が気兼ねなく出来るようになり、 密に伝えたいことを共有できる ようになると、 人院から退院した後まで一貫したケアが出来ると思います。

 リハビリテーション職は患者様を支援する 1職種に過ぎず、特に在宅においては、ケアマネジャー、ホームヘルパー、看護師、医師、 通所の事業所ほか様々な事業所や職種が関わっています。

 ひとりの患者様を支えるためには、 様々な職種がチームとなってアプローチする ことが重要で、 その連携がよりしやすいための環境づくりがしたいと思って行動しています。 つまりは、同職種による縦の連携と異なるリハビリ専門職の横の連携、さらには様々な 職種を含めた空間的連携が必要なのです。

川畑 公宏

人間の「手」の持つチカラを信じています

 自靖会は光靖会も含めて規模が大きくなっています。医療・介護・在宅のトライアングルをうまく 生かしながら、地域に貢献できる機会が増えてきていると思います。 どんどん地域に出ていって貢献できる土壌が整ってますので、私の出番だと感じています。 

 介護の仕事は、人生の大先輩からいろんなことを教えてもらえること。 人生の大先輩の喜怒哀楽に寄り添い、その中で笑顔が見れた時の達成感のある仕事です。 自靖会では職種に拘らず風通しの良い組織を目指しています。企画運営をして江戸川区中で面白いことを企画してやりたいなと思ます。地域を巻き込んで大暴れしたい考えています。

 たくさんの人が手を貸してくれてます。たくさんのスタッフが手を上げてくれてます。より多くの人が手を取りあえば、信じられないくらい大きな力が生まれます。私は、人間の「手」の持つチカラを信じています。

川畑 公宏

川畑 公宏

鹿児島県出身

鹿児島大学医療技術短期大学部を卒業後、理学療法士として地元の医療法人に入職。同法人で急性期、慢性期、老健を兼務。
平成16年に上京。医療法人社団自靖会に入職。
現在は事務局に在籍。
平成23年~江戸川介護劇団たなごころ 副座長
平成28年~江戸川リハビリテーション連絡会 会長

趣味は陶器(窯元巡り)

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